【開発秘話】Cosme Recipeのオリジナルロゴスタンプを作りました(石けん用)

【開発秘話】Cosme Recipeのオリジナルロゴスタンプを作りました(石けん用)

※本サイトのコンテンツは、一部プロモーションが含まれている場合があります。

Cosme Recipeのオリジナルロゴスタンプを開発しました。
最大の課題だった「文字と繊細な線を石けんにきれいに残す」ことをクリアしました!
家庭用3Dプリンタの方式を見直し、設計と条件出しを重ねた記録をご紹介します。

これは、Cosme Recipe(コスメレシピ)が石けんスタンプを開発し、販売に至る原点となった2024年の開発記録を元に書きました。

なぜ作ったのか(原点)

16年前になりますが、私はジュエリーの原型を3DCADで設計する仕事をしていました。
当時は出力機が企業向けで非常に高額で、データは作れても個人で形にするのは難しい時代でした。

数年前、展示会で家庭用の造形機が普及し、2016年ごろからクリエイターの間で広く活用されていることを知りました。

3Dプリンタがぐっと身近になっており、「道具を自分で作れる時代になった」と実感。
手作り石けんの道具を自作したくなり、十分な性能と扱いやすいサイズの造形機を購入しました。

▼ジュエリーCADの過去作

ジュエリーの3DCAD設計レンダリング

再始動と「危機感」

ところが、Web業務の繁忙や入籍、マイホームの施工が重なり、造形機はしばらく冬眠状態になってしまいました。

ようやく落ち着いた2024年9月に再開したところ、メーカーが3DCAD部門から撤退し、年内でサポート終了という事実を知ります。

「今やらないと置いていかれる」とスイッチが入り、設定の見直しと試作を一気に進めました。

ここからまずは、FDM方式 (溶かした樹脂を線状に積み上げて立体にするタイプ) での検証に入ります。

まずはFDM方式で試作 — 文字再現の壁

まずは、多くのクリエイターの方が使っているFDM方式(溶かした樹脂を線状に積み上げて立体にするタイプ)で、試作と検証をスタートしました。

まずは、設定の当たり付けです。
ノズルやベッド温度、速度などのパラメータを1つずつ動かし、連日テスト→撮影→記録を繰り返しました。

条件と結果、気づきをシートに残して比較できるようにしています。
一部をお見せします。

▼パラメータ検証の記録(一部)

FDM造形(ノズル温度やレイヤー高など)の条件を日別に整理した検証表

同時に、造形の向きも検討しました。
スタンプを横向き(ロゴ面が側面になる向き)で造形すると、エッジに樹脂のダマ(バリの塊)が残りやすいことが分かりました。
反対に、正面向き(ロゴ面をにして積む向き)では、糸引き(細い糸状のヒゲ)が目立ちます。
どちらもスタンプした時の品質に影響が出ます。

さらに、切削性(加工のしやすさ)に優れるとされる材料(ABSフィラメント)でも試しましたが、理想の品質には届きませんでした

▼造形向きの比較(横向き/正面向き)

横向きはエッジがダマ状に荒れ、正面向きは糸引きが残ることを示す比較写真

その後も、造形向き × 材料(フィラメント) × 温度などの各パラメータの組み合わせを数多く検証しましたが、最終的にFDM方式での試作では、次の課題を解消しきれませんでした。

  • 小文字の「o」「e」など抜きの小さな穴がふさがる
  • 文字幅を細くできず、スタンプした時にぼってりとしてしまう
  • 積層痕糸引きが仕上がりに残る

文字の再現性は絶対条件ですし、表面もなめらかに仕上げたい。
ここは妥協しないと決め、細かい模様の再現に強い光造形方式(液体樹脂を光で固めるタイプ)へ切り替えました。

メモ (簡易比較)

【FDM】

 樹脂を溶かして重ねる方法

 メリット:扱いやすい・丈夫
 デメリット

  ・細かい模様が出にくい

  ・積層痕や糸引きが出やすい

  ・仕上げ磨がしづらい

【FDM】

 液体樹脂を光で固める方法
 メリット

  ・細かい模様の再現可能

  ・表面がきれい
 デメリット

  ・後処理の手間

  ・コストが高め

  ・仕上げ磨きが可能

※ 今回の用途(石けんへのくっきり押印)には、光造形が適していると判断しました。

光造形に切り替えてからの設計の勘所

こうなったらとことん品質にこだわる!
そう決めて、光造形機は当時の最上位クラスの解像度(14K)、
ヒーターやカメラ搭載など高機能モデルを選びました。

FDM機より価格帯は大きく上がりましたが、品質を優先して導入しました。
(ちなみに、FDM造形機より3倍以上の価格でした(涙))

ただし、光造形に替えたからといって自動的になるわけではありません。
設計と条件の「合わせ込み」が品質を決めます

今回の要点は5つです。

  1. 最小線幅の再定義
    光造形は0.08mm程度まで造形できますが、石けんスタンプとして使える「再現性と強度」が必要です。
    文字がつぶれず、石けんにスタンプできる細さ欠けにくさバランスを探索しました。
    あわせて文字や模様最適な高さも検討しています。
  2. 微小の角丸 (角をほんの少し丸める)
    見た目のシャープさは維持しつつ、欠け防止離型性(石けんから抜けやすさ)を両立。
  3. 表面のなめらかさ
    光造形の滑らかさを活かし、軽い研磨でさらにフラットに。
  4. 逃げ勾配
    スタンプがスッと離れるように、見えない程度の角度を付加。
  5. 造形方向と後処理
    どの向き・角度で造形すると1番キレイに再現されるを検証。
    洗浄→二次硬化の条件を固定化し、表面品質と硬さを安定させました。
    (採用条件例:アルコール洗浄×3回、条件違いの二次硬化×2回)

メーカーさんにもご協力いただき、繰り返し検証の結果、課題だった模様と文字の再現が可能になりました。

▼石けんに押した例&スタンプ本体

石けん表面にロゴを刻印した様子とスタンプ本体

試作品では、ブランドイメージに合わせたデザインに加え、ブランドカラー(ローズピンク)に近いマイカパウダーをつけてスタンプしています。

紙にもスタンプしてみました(「i」の「・」は「♡」にしています)。

▼紙への試し押し

名刺サイズの紙に赤インクで押したオリジナルロゴスタンプの比較

試作から商品化へ — 想いを込めた石けんスタンプのご紹介

「おしゃれな石けん用スタンプが見つからない」
「かわいいけど文字がつぶれる」
そんな声に応えたくて、デザイン性と再現性の両立を目指しました。

合成色材に頼らなくても、オイルやオプション素材そのものが引き立つデザイン。
そして、小さな文字も繊細な模様もくっきり残ること。
そのために、材料・設定・後処理まで徹底的に検証しています。

こんな特徴の石けんスタンプを開発しました。

  1. 文字も模様もくっきり再現
  2. ベテランのアートディレクター監修の洗練されたデザイン
  3. 表面がつるっとキレイ (丁寧な仕上げ磨き)
  4. くすみマカロン3色 (大人の女性に似合う色)

こんな方におすすめです

  • 文字も模様もきれいに再現したい
  • 仕上がりの品質にこだわりたい
  • ギフト映えするおしゃれな石けんに仕上げたい

ラインナップ (4種類)

また、何の石けんかを示す「ラベル」代わりにも使えます。
万が一、文字や模様が欠けても安心の1年保証付きです。

素材が主役の、石けん用スタンプ」ぜひ一度お試しください。

おすすめ
image
Cosme Recipe オンラインショップ 手作り石けんに“ときめき”をプラス。Cosme Recipe(コスメレシピ)は、植物の色や香りを活かした手作り石けんの楽しさを広げるブランド。オリジナル石けんスタンプなど、石けん作りがときめく時間になるアイテムをお届けします。